屋根工事で足場が必要になる条件とは?

屋根工事では、屋根の端から落ちるおそれがあり、作業する高さが2m以上になる場合に足場が必要になるのが基本です。一般的な戸建て住宅の屋根は、軒先が地面から2mを超えることが多いため、葺き替えや塗装、補修でも足場を設置するケースが多くなります。

ただし、「屋根工事なら必ず足場が必要」と一律に決まっているわけではありません。屋根の高さや勾配、作業範囲、軒先からの転落防止策などを確認して判断します。

屋根工事で足場が必要になる主な条件

次の条件に当てはまるほど、足場が必要になる可能性が高くなります。

  • 作業する場所が地面から2m以上の高さにある
  • 屋根の端や軒先から転落するおそれがある
  • 屋根の勾配があり、立った姿勢を保ちにくい
  • 屋根材の撤去や搬入など、両手を使う作業がある
  • 屋根の広い範囲を歩いて作業する
  • 外壁や軒天、雨どいなども同時に工事する
  • 作業員だけでなく、材料や工具の落下を防ぐ必要がある

高さが2m以上の場所で作業する場合、労働安全衛生規則では、作業床や手すりなどによる墜落防止措置が必要になります。足場は、そのための代表的な設備です。詳しくは労働安全衛生規則の高所作業に関する規定を確認できます。

屋根の高さが2m以上だと足場が必要なのか

高さ2m以上で、屋根の端から転落するおそれがある作業では、足場などの墜落防止措置が必要です。ここでいう高さは、建物全体の高さだけでなく、実際に作業する場所から地面や下の面までの高さで判断します。

たとえば、平屋でも軒先が2mを超えていれば、高所作業に該当する可能性があります。一方、屋根の一部が低くても、作業場所に段差や開口部がある場合は、別途転落防止対策が必要です。

ただし、法律上の対策が必要だからといって、すべての現場で同じ種類の足場を設置するとは限りません。屋根の形状や工事内容に応じて、手すり付きの足場、作業床、安全ネットなどから適切な方法を選びます。

屋根の勾配が急な場合は足場が必要になりやすい

屋根の勾配が急になるほど、足元が不安定になり、屋根の上を安全に歩くことが難しくなります。そのため、屋根の高さが同じでも、緩やかな屋根より急勾配の屋根のほうが足場や屋根足場を設ける必要性が高くなります。

特に、次のような屋根は足場を使うことが多い傾向があります。

  • 傾斜が大きい切妻屋根や寄棟屋根
  • 表面が滑りやすい金属屋根
  • 古くなって割れやすいスレート屋根
  • 苔や汚れが付着している屋根
  • 雪止めや天窓など、足元に障害物がある屋根

勾配の角度だけで足場の要否を決めるのではなく、屋根材の状態、雨や風の影響、作業員が安全に移動できるかを合わせて判断します。

屋根工事の種類によって足場の必要性は変わる

足場が必要かどうかは、屋根工事の種類と作業範囲でも変わります。

工事内容 足場が必要になりやすい理由
屋根の葺き替え 古い屋根材の撤去、新しい材料の搬入、広い範囲での作業があるため
屋根のカバー工法 屋根材や工具を運び、屋根の広い範囲で作業するため
屋根塗装 塗装中の転落防止に加え、塗料や高圧洗浄水の飛散を抑える必要があるため
雨漏り補修 補修箇所が高所や屋根の端にある場合、作業姿勢が不安定になりやすいため
雨どい・軒天の工事 屋根ではなくても、外壁側の高所で作業するため

屋根の一部だけを補修する場合でも、作業場所が軒先に近い、勾配が急、材料を持って移動する、といった条件があれば足場が必要になることがあります。

屋根工事で足場が不要になることはあるのか

作業場所が低く、転落のおそれがなく、足場以外の方法で安全を確保できる場合は、通常の足場を設置しないこともあります。ただし、「工事範囲が小さい」「短時間で終わる」という理由だけで、足場を省略できるとは限りません。

足場を設置しない場合でも、作業床、手すり、安全ネット、親綱や墜落制止用器具など、現場に合った安全対策が必要です。どの対策を採用するかは、屋根の形状や高さ、作業内容を確認したうえで決めます。

はしごだけを使う方法は、材料を持って屋根へ上がる作業や、屋根の上で移動する作業の安全設備として十分とは限りません。足場なしで施工できると説明された場合は、足場の代わりにどの設備で転落を防ぐのかを確認してください。

足場には転落防止以外の役割もある

屋根工事の足場は、作業員の転落を防ぐだけでなく、次の目的にも使われます。

  • 屋根材や工具を安全に運ぶ
  • 外壁や雨どいを同時に施工する
  • 塗料や洗浄水が周囲へ飛散するのを抑える
  • 屋根から落ちた部材が人や車に当たるのを防ぐ
  • 作業員が安定した姿勢で作業する

そのため、屋根だけを工事するつもりでも、住宅の周囲に足場を設置することがあります。特に屋根塗装や高圧洗浄を行う場合は、近隣への飛散防止を目的としたメッシュシートを足場に取り付けることがあります。

足場が必要か判断するために確認すること

見積もりを受けたときは、足場の有無だけでなく、必要と判断した理由を確認すると判断しやすくなります。

  1. 作業する場所の高さと、軒先から地面までの高さを確認する
  2. 屋根の勾配、屋根材の種類、劣化状態を確認する
  3. 屋根のどの範囲を作業するのかを確認する
  4. 足場を設置する場合は、屋根工事以外に外壁や雨どいも施工するのか確認する
  5. 足場を設置しない場合は、代わりにどの墜落防止設備を使うのか確認する
  6. 見積書で足場代、メッシュシート代、組立・解体費が含まれているか確認する

業者に聞くときは、「この屋根ではなぜ足場が必要ですか」「足場を省略した場合、転落防止は何で行いますか」と具体的に質問すると、工事内容に沿った説明を受けやすくなります。

足場代を理由に無理に省略しない

足場を設置すると費用や工期は増えますが、屋根の上で安定して作業するための重要な設備です。費用を抑える目的だけで足場を省略すると、作業員の転落や部材の落下、施工品質の低下につながるおそれがあります。

足場を設置するか迷ったときは、価格だけでなく、作業する高さ、屋根の勾配、工事範囲、代替する安全設備を比べて判断してください。

屋根工事で足場が必要になる基本条件は、2m以上の高所で、屋根の端などから転落するおそれがあることです。一般的な住宅の葺き替えや塗装では足場が必要になることが多いものの、最終的な判断は現場の高さ・勾配・作業内容・安全対策によって変わります。