瓦屋根に断熱効果はある?
瓦屋根には、屋根材としての断熱効果が多少あります。ただし、瓦を使うだけで家全体の断熱性能が大きく高まるわけではありません。室内の暑さ・寒さは、瓦の種類だけでなく、瓦の下の通気層、屋根断熱・天井断熱、施工状態によって大きく変わります。
瓦屋根に断熱効果がある理由
瓦には一定の厚みがあり、金属屋根などと比べると熱が伝わりにくい性質があります。また、瓦と下地の間に空気の層ができる屋根では、日射で温められた瓦の熱が室内へ伝わるまでに時間がかかります。
さらに、瓦は熱をためる性質も持っています。そのため、日中に受けた熱がすぐに室内へ伝わるとは限らず、屋根の構造によっては室内の温度上昇を抑える方向に働きます。
ただし、これは瓦屋根全体の断熱性能を示すものではありません。瓦の熱の伝わりにくさや熱をためる性質と、住宅の断熱材による断熱は別のものです。
瓦屋根だけでは十分な断熱にならない
瓦は断熱材ではないため、瓦の下に十分な断熱材がなければ、夏の暑さや冬の冷えを大きく防ぐことはできません。特に屋根裏を室内として使う住宅では、屋根面からの熱の影響を受けやすくなります。
屋根の断熱性能を左右しやすいのは、次のような部分です。
- 瓦の下にある下地材や防水層
- 屋根と下地の間の通気層
- 屋根断熱または天井断熱の厚さと施工状態
- 屋根裏の換気方法
- 屋根の向き、勾配、日射の当たり方
- 小屋裏や天井に隙間があるかどうか
そのため、「瓦屋根だから涼しい」「瓦屋根だから冬も暖かい」と一律には判断できません。瓦屋根の断熱効果を確認するには、屋根材ではなく、屋根全体の構成を見る必要があります。
夏の暑さに対する瓦屋根の効果
夏は、瓦の厚みや瓦と下地の間の空気層によって、金属屋根よりも屋根表面の熱が室内へ伝わりにくい場合があります。瓦の色や種類、屋根の通気構造によっても、屋根裏の温度上昇には差が出ます。
ただし、屋根裏に熱がこもる構造では、瓦が熱をためた後に小屋裏の温度が上がることがあります。屋根裏を換気できていない場合や、天井断熱が不足している場合は、瓦屋根でも室内が暑くなる可能性があります。
夏の暑さを抑えたい場合は、瓦の交換だけでなく、次の点を確認することが大切です。
- 屋根の棟や軒先に通気の仕組みがあるか
- 小屋裏の換気が妨げられていないか
- 天井または屋根面に断熱材が入っているか
- 断熱材に隙間や沈み込みがないか
- 窓から入る日射を遮れているか
冬の寒さに対する瓦屋根の効果
冬は、瓦が金属よりも熱を伝えにくく、屋根から急に熱が逃げるのを抑える方向に働くことがあります。しかし、室内の暖かさを保つ効果の中心になるのは、屋根や天井に施工された断熱材と気密性です。
断熱材が少ない住宅では、瓦屋根であっても屋根から熱が逃げます。また、天井裏の隙間や屋根と壁の取り合い部分に空気の通り道があると、断熱材の性能を十分に発揮できないことがあります。
冬の寒さが気になる場合は、瓦の種類よりも、天井断熱・屋根断熱の状態、壁との接合部、窓の断熱性能を優先して確認すると判断しやすくなります。
瓦屋根の種類によって断熱効果は変わる?
瓦には、粘土を焼いた瓦や、セメントを原料とする瓦などがあります。素材や厚さ、表面の色によって、熱の伝わり方や日射の受け方は変わります。
ただし、瓦の種類だけで住宅の断熱性能を比較することはできません。同じ瓦を使っていても、下地の構造、通気層、断熱材、施工状態が違えば、室内環境は変わるためです。
| 確認する項目 | 断熱効果への関係 |
|---|---|
| 瓦の素材・厚さ | 屋根材自体の熱の伝わり方や熱のたまり方に関係します |
| 瓦の色 | 日射を受けたときの表面温度に影響する場合があります |
| 瓦の下の通気層 | 屋根裏に熱や湿気がこもるのを抑える構造に関係します |
| 天井・屋根の断熱材 | 室内へ熱が伝わる量を抑える中心的な部分です |
| 施工状態 | 断熱材の隙間や屋根の通気不良があると性能を発揮しにくくなります |
瓦屋根の断熱効果を確認する方法
自宅の瓦屋根にどの程度の断熱効果があるかは、屋根材だけを見ても判断できません。次の順番で、屋根裏と断熱材の状態を確認します。
- 屋根裏または小屋裏を確認する。断熱材の有無、厚さ、ずれ、隙間、湿気による傷みを確認します。
- 瓦の下に通気層があるか確認する。図面や施工記録があれば、瓦の下から軒先・棟へ空気が流れる構造かを確認します。
- 屋根裏の換気口を確認する。換気口がふさがれていないか、屋根裏に熱気や湿気がこもっていないかを見ます。
- 天井と壁、屋根と壁の境目を確認する。断熱材が途切れやすい部分や、外気が入り込む隙間がないかを確認します。
- 必要に応じて専門業者に調査を依頼する。屋根材をめくる調査や断熱性能の測定が必要な場合は、屋根工事業者や住宅診断の専門家に相談します。
天井裏へ入る際は、断熱材や電気配線を踏まないよう注意が必要です。雨漏り、瓦のずれ、屋根裏の結露が疑われる場合は、断熱性能だけでなく屋根の防水状態も合わせて確認します。
断熱目的で瓦に交換するのは効果的?
金属屋根などから瓦屋根へ変更すると、屋根材の厚みや構造によって、屋根表面からの熱の伝わり方が変わる可能性はあります。しかし、断熱改善だけを目的に瓦へ交換しても、効果が限定的になる場合があります。
屋根材を交換する際は、瓦の種類だけでなく、下地、通気層、断熱材、屋根の重量に耐えられる構造かどうかを確認する必要があります。瓦は金属屋根より重量が大きくなることがあるため、建物の構造や耐震性への影響も確認が必要です。
すでに瓦屋根で室内が暑い・寒い場合は、まず天井や屋根の断熱材、屋根裏の換気、窓の断熱を調べたほうが、原因に合った対策を選びやすくなります。
瓦屋根の断熱効果を判断するときの結論
瓦屋根には、瓦の厚みや瓦の下の空気層によって、熱の伝わりを遅らせる効果があります。ただし、瓦そのものの断熱効果は限定的で、室内の温度を大きく左右するのは断熱材、通気層、屋根裏換気、施工状態です。
自宅の断熱性能を改善したい場合は、瓦の種類だけで判断せず、まず屋根裏の断熱材と通気状態を確認するのが基本です。屋根の交換を検討する場合は、断熱性能に加えて、屋根の重量、防水性、建物の構造も含めて比較してください。