瓦屋根の棟部材にはどのような種類がある?
瓦屋根の棟部材には、棟の形をつくる瓦、端部を飾る瓦、瓦を固定する金具や下地材などがあります。代表的なのは、のし瓦・冠瓦(丸瓦)・鬼瓦・棟用金具・漆喰や南蛮漆喰です。
ただし、使う部材は瓦の種類、棟の形、伝統的な施工か乾式工法かによって変わります。屋根に使われている瓦だけでなく、棟の納まり全体を確認して選ぶことが大切です。
瓦屋根の棟部材は大きく4種類に分けられる
棟部材は、主に「棟を積む瓦」「棟の頂部を覆う瓦」「棟の端を飾る瓦」「固定や防水に使う部材」に分けられます。
| 分類 | 代表的な部材 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 棟を積む瓦 | のし瓦 | 棟の高さや形をつくる |
| 棟の頂部を覆う瓦 | 冠瓦、丸瓦、紐丸瓦 | 棟の上部を覆い、雨水の侵入を抑える |
| 棟の端部を飾る瓦 | 鬼瓦、巴瓦 | 棟の先端を納め、装飾する |
| 固定・防水の部材 | 棟金具、ビス、漆喰、南蛮漆喰、防水材 | 瓦の固定、隙間の充填、雨仕舞いを行う |
「雨仕舞い」とは、雨水が屋根内部へ入り込まないように、部材の重なりや水の流れを整えることです。
棟に使われる瓦の種類
のし瓦
のし瓦は、棟の内部に何段か重ねて使う平らな瓦です。棟の高さを出したり、棟の形状を整えたりする役割があります。
のし瓦を複数段積む施工では、段数や積み方によって棟の見た目が変わります。段数が多い棟は重厚な印象になりますが、実際の採用は屋根の勾配、建物の意匠、既存の納まりなどを踏まえて決めます。
冠瓦
冠瓦は、のし瓦などでつくった棟の最上部を覆う瓦です。断面が丸みを帯びたものが多く、棟の頂部からの雨水の侵入を抑える役割があります。
地域やメーカーによって、冠瓦、丸瓦、棟瓦など呼び方が異なる場合があります。修理や交換では、名称だけでなく、瓦の幅・長さ・形状・固定方法を確認する必要があります。
丸瓦・紐丸瓦
丸瓦は、棟の頂部に取り付ける丸みのある瓦です。紐丸瓦は、瓦の縁にひものような突起があるタイプを指します。
丸瓦の形状や寸法は製品によって異なるため、同じ「丸瓦」でも既存の瓦とそのまま交換できるとは限りません。既存屋根の瓦を一枚外して、裏面の形状や寸法を調べることがあります。
伏間瓦
伏間瓦は、棟の最上部を覆う瓦を指す呼び方の一つです。地域や施工業者によって、冠瓦や丸瓦と近い意味で使われることがあります。
瓦の名称は地域差や職人による呼び方の違いがあるため、見積書では「伏間瓦」「冠瓦」などの名称だけで判断せず、実物の写真や施工範囲も確認すると安心です。
棟の端部に使われる部材
鬼瓦
鬼瓦は、棟の端に取り付ける装飾性のある瓦です。棟の端部を納める役割があり、シンプルな形から、鬼の顔や家紋などを施したものまであります。
鬼瓦は建物の外観に影響するだけでなく、既存の棟の寸法や形に合わせる必要があります。破損した場合でも、一般的な瓦だけで代用できるとは限りません。
巴瓦
巴瓦は、軒先や棟の端などに使われる、渦巻き状の模様が付いた瓦です。棟の端部で使われる場合は、鬼瓦などと組み合わせて納めることがあります。
実際の使用場所は屋根の形式や地域の納まりによって異なるため、修理では現状の瓦の配置を確認します。
棟を固定・防水する部材
棟金具
棟金具は、棟の下地や冠瓦などを固定するための金属部材です。乾式工法では、棟金具に木材などの下地を固定し、その下地へ棟瓦をビスで留める納まりがあります。
棟金具の形状や取り付け位置は、屋根の構造や使用する瓦によって異なります。金具があるから必ず耐震性が高い、または金具がないから必ず危険だと、一律には判断できません。固定方法全体を確認する必要があります。
棟用のビス・釘
棟瓦を固定するために、釘やビスが使われます。現在の修理では、抜けにくさや耐久性を考慮して、ステンレス製のビスなどを使う場合があります。
ただし、使用する金具やビスの種類は、瓦の材質、下地の状態、既存の穴の位置などによって変わります。古い釘をビスへ交換する場合も、下地が傷んでいれば先に補修が必要です。
漆喰
漆喰は、棟の土台部分や瓦の隙間を覆うために使われる白い仕上げ材です。棟の内部に雨水が入り込むのを抑え、外観を整える役割があります。
漆喰が剥がれている場合でも、表面だけを塗り重ねればよいとは限りません。下地の土や棟瓦のずれ、雨水の侵入状況を確認してから補修方法を決めます。
南蛮漆喰
南蛮漆喰は、棟の土台づくりや瓦の固定に使われる材料の一つです。製品によって配合や用途が異なり、棟土の代わりや補助材として使われることがあります。
「南蛮漆喰を使えば、どの屋根でも同じ施工ができる」とは限りません。製品の施工方法と、既存屋根の状態に合っているかを確認する必要があります。
施工方法によって棟部材の組み合わせが変わる
同じ瓦屋根でも、棟の施工方法によって使う部材は異なります。代表的なのは、棟土や漆喰を使う湿式の納まりと、金具や乾式の材料を使う納まりです。
| 施工方法 | 主な部材の例 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 湿式の納まり | のし瓦、冠瓦、棟土、漆喰など | 棟土の状態、瓦のずれ、漆喰の剥がれ |
| 乾式の納まり | 棟金具、下地材、ビス、乾式面戸材、冠瓦など | 金具や下地の固定状態、面戸材の劣化 |
乾式の納まりで使われる「面戸材」は、瓦と下地の隙間をふさぐ部材です。製品によって形状や材質が異なるため、既存の瓦に適合するものを選びます。
棟部材を選ぶときに確認すること
棟部材を交換・修理するときは、瓦の名称だけでなく、屋根全体の条件を確認します。特に次の項目が判断材料になります。
- 既存の瓦が和瓦、いぶし瓦、釉薬瓦などのどれに当たるか
- 冠瓦やのし瓦の寸法、形状、重なり方
- 棟の長さ、段数、勾配
- 棟土や下地材の劣化状況
- 瓦を釘やビス、金具のどれで固定しているか
- 鬼瓦や巴瓦など、端部の装飾瓦が再利用できるか
- 既存の瓦と交換部材の色や焼き上がりが合うか
特に部分交換では、同じ種類の瓦でも寸法や形状が合わないことがあります。既存品と同じメーカー・製品であることが分からない場合は、実物を採寸して適合を確認します。
棟の部材名だけでなく施工範囲を確認する
見積書に「棟瓦交換」「漆喰補修」「棟取り直し」と書かれていても、含まれる作業範囲は同じとは限りません。
たとえば、漆喰の表面だけを補修する作業と、棟瓦をいったん解体して下地からつくり直す作業では、確認する部材も費用も異なります。見積もりでは、次の点を具体的に確認してください。
- 交換する瓦の種類と枚数
- のし瓦や冠瓦を再利用するか
- 棟土、漆喰、南蛮漆喰をどこまで撤去するか
- 棟金具や下地材を新しくするか
- 鬼瓦や巴瓦を交換・再設置するか
- 足場や廃材処分などが含まれているか
棟部材の種類を知りたいだけなら、まず棟の写真を全体と端部の両方から撮影し、瓦の形状と固定方法を確認します。修理や交換を予定している場合は、写真だけで部材を確定せず、既存瓦の寸法と下地の状態を調べてから選ぶのが基本です。
瓦屋根の棟部材の種類を判断するポイント
瓦屋根の棟部材は、のし瓦、冠瓦・丸瓦、鬼瓦・巴瓦、棟金具、釘・ビス、漆喰・南蛮漆喰などに分けられます。
ただし、呼び方や組み合わせは地域、瓦の製品、施工方法によって変わります。交換や補修では、部材名だけで決めず、既存瓦の形状・寸法・固定方法と、棟の下地の状態を確認して適合する部材を選んでください。