瓦屋根の塩害対策とは?

瓦屋根の塩害対策は、屋根に付着した塩分を放置せず、金属部品や瓦の状態を定期的に点検し、腐食や破損が見つかったら早めに補修することです。海岸近くでは、瓦そのものよりも、棟金具、釘、ビス、板金、雨どいなどの金属部分が先に影響を受ける場合があります。

ただし、塩害の受け方は、海からの距離、風向き、建物の高さ、屋根材の種類、周辺環境によって変わります。「海から何kmなら対策不要」と一律には判断できません。

瓦屋根の塩害で起こりやすいこと

塩害とは、海水に含まれる塩分が風や雨で建物に付着し、金属の腐食などを進める現象です。瓦屋根では、主に次の部分を確認します。

  • 瓦を固定する釘やビスのさび
  • 棟瓦や袖瓦などを固定する金具の腐食
  • 屋根の谷板金、けらば板金、雨押さえなどの腐食
  • 雨どい、金具、排水部品の腐食
  • 漆喰やモルタルの劣化、ひび割れ、はがれ
  • 瓦の表面の汚れ、変色、白い析出物
  • 瓦のずれ、割れ、浮き

粘土を焼いた一般的な瓦は、金属と比べて塩分による腐食を受けにくい素材です。しかし、瓦を固定する部品や、瓦の下にある防水層・下地まで影響が及ぶと、雨漏りにつながるおそれがあります。

塩害対策で最初に行うこと

まずは、屋根全体を無理に洗うのではなく、屋根材と金属部品の状態を点検してください。屋根に上る作業は転落の危険があるため、専門業者に依頼するのが基本です。

  1. 屋根材の種類と、海からの距離だけでなく、海風が当たりやすい方角を確認する。
  2. 地上から、瓦のずれ・割れ・浮き、棟のゆがみ、雨どいのさびや穴を確認する。
  3. 屋根業者に、瓦だけでなく釘・ビス・棟金具・板金・雨どい・漆喰・防水シートの状態を点検してもらう。
  4. 腐食や破損が見つかった部品は、部分交換や補修の必要性を判断する。
  5. 補修後も、台風や強風の後、または定期点検の際に同じ箇所を確認する。

点検では、「瓦に問題がないか」だけでなく、瓦を固定している部材と、雨水を排出する部材に腐食がないかを確認することが重要です。

具体的な瓦屋根の塩害対策

塩分や汚れを水で洗い流す

屋根表面に塩分や砂ぼこりが付着している場合は、水で洗い流す方法があります。ただし、高圧洗浄機を屋根に近距離で当てると、瓦のずれや破損、防水シートへの影響、雨仕舞い部分からの浸水を招く可能性があります。

自分で屋根に上って洗浄するのではなく、瓦屋根を扱える業者に、屋根材や劣化状態に合った方法を確認してください。洗浄後に塩分を含んだ水が金属部品や外壁に残ると、別の部分に影響することもあります。

腐食しにくい固定部品へ交換する

釘、ビス、棟金具などに腐食がある場合は、表面だけを塗装して済むか、部品を交換する必要があるかを確認します。塩害を受けやすい環境では、交換部品の材質や表面処理が適しているかが重要です。

ステンレス製などの部品でも、すべての製品が同じ耐久性を持つとは限りません。屋根の場所、異なる金属との接触、施工方法によって腐食の進み方が変わるため、部品の種類だけで「腐食しない」と判断しないでください。

棟や板金の雨仕舞いを補修する

棟瓦、谷板金、雨押さえ、けらば周辺などは、雨水が集まりやすく、腐食や固定不良が雨漏りにつながりやすい部分です。さび、穴、浮き、シーリングの切れ、瓦のずれがないかを確認し、必要に応じて交換・補修します。

棟の漆喰がはがれている場合も、見た目だけでなく、棟の固定状態や内部の土・下地まで点検する必要があります。表面に新しい材料を重ねるだけでよいかは、劣化の範囲を見て判断します。

雨どいと排水部品を清掃・点検する

雨どいに塩分を含んだ汚れや落ち葉がたまると、金属製の金具や雨どいの腐食を進めることがあります。雨どいの詰まり、傾き、穴、金具のさび、接続部からの漏れを点検してください。

屋根から流れた水が外壁や金属部品に長くかからないよう、排水経路が機能していることも確認します。

劣化が進んだ瓦を交換する

瓦にひび割れ、欠け、浮き、ずれがある場合は、塩害だけでなく強風や凍結など別の原因も含めて点検します。破損した瓦を放置すると、瓦の下へ雨水が入り、下地の劣化を進める可能性があります。

瓦の交換では、既存の瓦と形状や寸法が合うか、固定方法を変更する必要があるかを確認します。瓦の種類や設置時期によっては、同じ製品が入手できないこともあります。

塩害対策として屋根塗装は必要?

屋根塗装だけで瓦屋根の塩害を防げるとは限りません。粘土瓦は、塗装が主な維持管理方法にならない製品もあります。一方、セメント瓦など塗装による保護が関係する屋根材もあるため、瓦の種類を確認して判断します。

塗装を検討する場合は、次の点を業者に確認してください。

  • 屋根材が粘土瓦、いぶし瓦、釉薬瓦、セメント瓦などのどれに当たるか
  • その屋根材に塗装が必要か、塗装が適しているか
  • 塗装で保護できる部分と、交換が必要な金属部品はどこか
  • 塩害環境に適した塗料か
  • 塗装前に、ひび割れ・ずれ・腐食・雨漏りを補修するか

腐食した金具や穴の開いた板金を塗装で覆っても、内部の劣化が解消されるとは限りません。補修と塗装のどちらが必要かを、部材ごとに分けて判断することが大切です。

塩害の影響を受けやすい瓦屋根の条件

次の条件が重なるほど、点検や清掃の必要性を検討しやすくなります。ただし、これらは目安であり、劣化の有無を決める基準ではありません。

  • 海岸に近い場所に建っている
  • 海側からの風が直接当たりやすい
  • 高台や開けた場所にあり、風を遮る建物が少ない
  • 屋根や雨どいにさび、白い付着物、汚れが目立つ
  • 築年数が経過し、固定部品の交換履歴が分からない
  • 台風や強風の後に瓦のずれや雨漏りが発生した
  • 工場、港、海水を使う施設などの近くにある

海から離れていても、風向きや地形によって塩分が運ばれることがあります。反対に、海の近くでも建物の配置や屋根の向きによって影響が異なるため、距離だけで判断しないでください。

塩害対策で避けたい判断

  • 地上から見えない屋根の腐食を「問題なし」と決める
  • 瓦が無事なので、釘・金具・板金も無事だと考える
  • さびた部品を塗装だけで覆い、内部の状態を確認しない
  • 強い水圧で屋根を自分で洗浄する
  • 雨漏りがないため、瓦のずれや腐食を放置する
  • 屋根材の種類を確認せず、一般的な屋根塗装を依頼する

特に、雨漏りは劣化が進んだ後に現れる症状です。雨漏りがない段階でも、瓦のずれ、金属部品の腐食、棟の浮きなどが見つかった場合は、補修時期を検討します。

瓦屋根の塩害対策は「瓦・金属部品・排水」を分けて確認する

瓦屋根の塩害対策は、屋根全体を一度塗装することではなく、瓦の状態、固定金具や板金の腐食、雨どいの排水状態を分けて点検し、必要な部分だけ補修することが基本です。

最初に行うことは、屋根に上らず地上から異常を確認し、瓦屋根の点検に対応できる業者へ、金属部品や防水層を含めた点検を依頼することです。海岸近くや強風を受けやすい場所では、台風後にも瓦のずれや部品の腐食を確認してください。