瓦屋根の地震で瓦が落下するのを防ぐ対策は?
瓦屋根の地震対策は、瓦を屋根にしっかり固定し、棟(屋根の頂部)の崩れを防ぐことが基本です。古い瓦屋根では、瓦を土に載せる「土葺き」や固定が少ない工法が使われている場合があり、揺れで瓦がずれたり落下したりするおそれがあります。
ただし、瓦の落下対策だけで建物全体の倒壊を防げるわけではありません。屋根の状態と、建物の耐震性を分けて確認し、必要に応じて屋根の固定・棟の補強・軽量化を組み合わせて検討します。
瓦屋根の地震で瓦が落下するのを防ぐ主な対策
優先したい対策は、瓦の固定、棟の耐震化、屋根の軽量化、定期点検の4つです。
- 瓦を釘やビスなどで固定する
- 棟瓦を金具やビスで補強する
- 必要に応じて、軽量な屋根材へ葺き替える
- 瓦のずれ、ひび、浮き、漆喰の劣化を点検する
どの対策が適切かは、瓦の種類、築年数、現在の施工方法、屋根の下地、建物の耐震性によって変わります。見た目だけでは固定状態を判断しにくいため、屋根に上らず、屋根工事業者や建築士などに確認を依頼するのが安全です。
瓦を釘やビスで固定する
瓦の落下を防ぐ基本的な方法は、瓦を屋根の下地に固定することです。瓦の種類や屋根の状態に応じて、釘、ビス、金具などを使い、瓦がずれにくい状態にします。
特に、瓦を土の上に載せる土葺き工法では、瓦自体の固定が少ないことがあります。この場合は、既存の瓦を残して部分的に固定できるか、瓦をいったん撤去して下地を整える必要があるかを確認します。
単に瓦のすき間へ接着剤を入れるだけでは、屋根全体の耐震対策になるとは限りません。接着剤の劣化や、下地の傷みがある場合も考えられるため、固定方法は屋根全体の状態を見て決めます。
棟瓦を耐震化する
地震では、屋根の頂部にある棟瓦が崩れ、瓦や土が落下することがあります。そのため、平部の瓦だけでなく、棟の補強も重要です。
棟の工事では、棟瓦を支える金具や下地を設置し、ビスなどで固定する方法があります。古い棟で使われている土や漆喰が劣化している場合は、補修だけで済むのか、棟を解体して積み直す必要があるのかを確認します。
棟瓦の補強方法は、屋根の形状や瓦の種類によって異なります。見積もりでは、次の点が含まれているかを確認してください。
- 棟瓦を固定する方法
- 棟の下地や金具の交換範囲
- 劣化した土や漆喰を撤去するか
- 平部の瓦も固定するか
- 古い瓦や廃材の処分費が含まれるか
屋根を軽量化する
瓦屋根そのものを軽量な屋根材へ葺き替える方法もあります。屋根が軽くなると、建物の揺れや、建物を支える構造部材への負担を小さくできる可能性があります。
ただし、軽量化は「瓦の落下を防ぐ対策」と「建物の耐震性を高める対策」を兼ねる工事であり、瓦を固定する工事とは目的が異なります。屋根材を軽くしても、柱、梁、壁、基礎などに問題があれば、建物全体の耐震性が十分になるとは限りません。
葺き替えを検討する場合は、屋根工事だけでなく、建物の耐震診断や耐震改修が必要かも同時に確認します。費用や工事範囲が大きくなりやすいため、瓦の固定や棟の補強で対応できる状態かどうかを先に調べると判断しやすくなります。
地震前に確認したい瓦屋根の劣化
次の症状がある場合は、瓦が地震でずれたり落下したりするリスクを確認してください。
- 瓦がずれている、波打っている
- 瓦が浮いている、動く
- 瓦にひび割れや欠けがある
- 棟瓦が曲がっている、沈んでいる
- 棟の漆喰が崩れている
- 屋根から土や破片が落ちている
- 雨漏りの跡がある
- 強風の後から瓦の位置が変わった
屋根の上を自分で歩いて確認するのは避けてください。瓦が割れるだけでなく、屋根から転落する危険があります。地上から見える範囲を確認し、必要なら点検を依頼します。
瓦の落下対策を依頼するときの手順
対策を急いで契約するのではなく、屋根の状態と工事内容を順番に確認します。
- 地上から瓦のずれ、棟のゆがみ、ひび割れ、落下物を確認する
- 屋根工事業者や建築士に、瓦の固定状態と棟の状態を点検してもらう
- 「部分補修」「瓦の固定」「棟の耐震化」「葺き替え」のどれが必要か説明を受ける
- 工事範囲、使用する材料、追加費用の条件を見積書で確認する
- 建物の耐震性にも不安があれば、屋根工事とは別に耐震診断を検討する
「瓦を全部交換すれば必ず安全になる」「この補修だけで倒壊しない」といった説明を受けた場合は注意が必要です。瓦の落下、屋根の損傷、建物の倒壊は別の問題なので、それぞれの対策と限界を確認してください。
地震後に瓦が落ちそうなときの注意点
地震後に瓦がずれている、屋根が大きくゆがんでいる、瓦や土が落下している場合は、屋根の下や建物の近くに近づかないでください。余震や瓦の追加落下が起きるおそれがあります。
屋根にブルーシートをかける作業を自分で行うのも危険です。応急処置が必要な場合は、自治体の案内や専門業者に相談し、電線、道路、隣家への落下にも注意します。
地震後の修理では、被害状況を屋根に上らず撮影し、修理前の写真や見積書を保管しておくと、保険や公的支援の確認に使える場合があります。保険の対象や申請条件は契約や制度によって異なるため、補償を受けられると断定せず、保険会社や自治体に確認してください。
瓦屋根の地震対策は何から始めるべきか
まずは、屋根工事業者や建築士に、平部の瓦と棟瓦の固定状態を点検してもらってください。古い瓦屋根では、瓦の固定だけでなく、棟の耐震化や屋根の下地の補修が必要になることがあります。
瓦の落下対策は、瓦の固定と棟の補強が基本です。建物の揺れそのものを小さくしたい場合や、築年数が古く耐震性にも不安がある場合は、屋根の軽量化と建物の耐震診断を合わせて検討します。